欧米諸国の認識
暖房に大量のエネルギーを消費していた欧米諸国は、使用を抑制する方向ではなく、暖房は現状維持のままエネルギー消費を減らす方向を選択しました。それは、社会が「冬の寒さは健康を阻害する要因で、暖房は大切」という認識を持っていたからです。
英国では、2000年から広域的な健康調査を実施し、年間50万件の医療データベースを元に様々な疾患の発症状況と原因についての詳細な分析を遂行。その結果、室温の低下と健康障害の因果関係を明らかにした。(室温が18℃より下がらないと一般的には寒さを感じない・・・・・など)
この調査を受け、政府は「暖房を使用して、室温を一定以上に保つように」と国民に広く呼びかけるとともに、住宅の健康安全性を評価するシステムを構築しました。
米国では、北東部の8つの州が室温に関する規定を設けていて、ニューヨーク州は昼20℃、夜13℃を下回る住宅物件の賃貸を禁止しています。
低温と健康障害の関係については、09年にWHOも報告書を発表し、世界共通の認識になったと言えると思います。日本でも低温が問題視される時期が来ると思いますが、その時に欧米と同じ常識全館暖房が普及するとは考えにくいですから、なお一層、住宅の高断熱化が重要になるはずです。
次回は高断熱住宅と幅の広い疾患で症状改善との関係です。